こんにちは。はーねうすです。

今回は、「ヴィヴァルディ:四季(ピアノ編曲版)他」を紹介します。

バロック音楽のスタンダードナンバーといっても過言ではない、ヴィヴァルディの「協奏曲集≪四季≫」をピアノ用に編曲したアルバムです。

また、同じヴィヴァルディによる「マンドリン協奏曲」や「リュート協奏曲」もピアノ編曲で収められています。

「憧れの曲を、いつかピアノで弾いてみたい」というピアノ初学者の代弁したような、どこかノスタルジックになるアルバムです。

ピアノ演奏は、ジェフリー・ビーゲル氏です。

原題は、「VIVALDI The For Seasons (arranged for piano by Jeffry Biegel)」です。

打ち込みクラシック

DAW(Digital Audio Workstation)で入力したクラシック音楽のDTM(DeskTop Music)作品を紹介するコーナーを巻末に設けています。
今回紹介するアルバムの中から1曲をピックアップしていますので、是非お楽しみください。

ヴィヴァルディの「四季」をピアノ用に編曲したアルバムですね。名曲のお色直しという感じがします。

ヴァイオリンや弦楽合奏に特有の音響が、どのように変貌するのかも楽しみだな。

【着想】バロック音楽のピアノ編曲(1)。

ヴィヴァルディ:四季(ピアノ編曲版)他」のコンテンツです。

「四季(ピアノ編曲版)他」です。
ヴィヴァルディ:四季(ピアノ編曲版)他 レーベル[NAXOS]

17世紀~18世紀のバロック時代では、ピアノが開発されたばかりで、楽器としては未熟でした。そのため、ピアノ用の楽曲が作曲されることは稀でした。
そんなバロック時代の音楽を、現代のピアノでアレンジしたアルバムになっています。

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1*Violin Concert in E major, Op.8, No.1 -‘Primavera’1. AllegroOp.8-1
2*Violin Concert in E major, Op.8, No.1 -‘Primavera’2. LargoOp.8-1
3*Violin Concert in E major, Op.8, No.1 -‘Primavera’3. Allegro pastoraleOp.8-1
4*Violin Concert in G minor, Op.8, No.2 -‘L’estate’1. Allegro non moltoOp.8-2
5*Violin Concert in G minor, Op.8, No.2 -‘L’estate’2. Adagio e piano – Prest e forteOp.8-2
6*Violin Concert in G minor, Op.8, No.2 -‘L’estate’3. PrestoOp.8-2
7*Violin Concert in F major, Op.8, No.3 -‘L’autunno’1. AllegroOp.8-3
8*Violin Concert in F major, Op.8, No.3 -‘L’autunno’2. Adagio moltoOp.8-3
9*Violin Concert in F major, Op.8, No.3 -‘L’autunno’3. AllegroOp.8-3
10*Violin Concert in F major, Op.8, No.3 -‘L’inverno’1. Allegro non moltoOp.8-4
11*Violin Concert in F major, Op.8, No.3 -‘L’inverno’2. LargoOp.8-4
12*Violin Concert in F major, Op.8, No.3 -‘L’inverno’3. AllegroOp.8-4
13**Mandolin Concert in C major1. AllegroRV 425
14**Mandolin Concert in C major2. LargoRV 425
15**Mandolin Concert in C major3. AllegroRV 425
16**Lute Concert in D major1. Allegro gistoRV 93
17**Lute Concert in D major2. LargoRV 93
18**Lute Concert in D major3. AllegroRV 93
*: Jeffry Bigerl (ピアノ編曲)
**: Andrew Gentile (ピアノ編曲)

ちょっとした所感です。

<おすすめ度★★★>

「No.4」~「No.6」:「Violin Concert in G minor, Op.8, No.2 -‘L’estate‘ (協奏曲集≪四季≫ 第2番 ト短調 ≪夏≫)」

第1楽章:

暗くじっとりとした湿気感と、からっとした乾燥感が交錯するドラマティックな楽曲です。

鈍重に進行する主題と、さっと駆け抜ける主題が交代で登場する構成は、否応にもドラマ性を感じます。

第2楽章:

激性を伴った、演出面を重要視したような楽曲です。

陰鬱な心理を描写した主旋律による主題と、雷鳴のように轟く副旋律的な伴奏の掛け合いが魅力です。

第3楽章:

疾風迅雷の如く襲い来る猛威を、端的に音楽で描き出した楽曲です。

とにかく格好が良くて、興奮します。

原曲にある強烈なパッセージを、ピアノのヴィルトゥオーゾとして描かれる、疾駆するような情景描写が凄まじいです。

「No.10」~「No.12」:「Violin Concert in F major, Op.8, No.3 -‘L’inverno‘ (協奏曲集≪四季≫ 第4番 ヘ短調 ≪冬≫)」

第1楽章:

振り積もりゆく雪景色の中を駆け抜けるような、情景描写が見事な楽曲です。

単調なスタッカートの動機が一転、一気に起伏と抑揚の激しい動線を描く主題が登場します。

曲調から寒々しさと、吹雪という自然の猛威を感じることができます。

第2楽章:

憩い、という単語がぴたりとはまり込む楽曲です。

柔和に奏でられる優美で暖かみのある主題が素敵です。

徐々に眠気が増していくような心理描写になっています。

第3楽章:

酷くメランコリックな心象が支配的な楽曲です。

同型反復のような主旋律で構成された主題と、伴奏で応えられる副旋律的な律動による主題が、見事に交差しています。

中間の穏やかで落ち着いた雰囲気から、一気の同化する結尾が素敵です。

<おすすめ度★★>

「No.1」~「No.3」:「Violin Concert in E major, Op.8, No.1 -‘Primavera (協奏曲集≪四季≫ 第1番 ホ長調 ≪春≫)」

第1楽章:

清々しい空気晴れやかな気分を見事に描き出した楽曲です。

情景描写と心理描写をマッチさせることに成功しています。

和音の重奏で進行する意気揚々な気分を表わしたキャッチな主題と、多様な旋律線で奏でられる自然の風景を描写した主題が融解してゆきます。

第2楽章:

物悲しく陰鬱な雰囲気を纏った楽曲です。

高音域で先導する単旋律の主題が、感傷的で殊更に美しいです。

主旋律をそっと支える伴奏も素敵です。

第3楽章:

陽明と陰影が入り混じった、美麗な楽曲です。

主旋律と伴奏が、重層的に呼応するが素敵です。

中盤に挟み込まれる、低音域の同音連打によるベースラインが印象的です。

「No.7」~「No.9」:「Violin Concert in F major, Op.8, No.3 -‘L’autunno’ (協奏曲集≪四季≫ 第3番 ヘ長調 ≪秋≫)」

第1楽章:

心理的な圧迫感がない、窮屈さとは縁遠い楽曲です。

田舎で祝われる豊穣の舞踏を想わせる主題が、長短調を入れ替えて登場します。

後半に登場する物憂げな主題による、一貫性をひっくり返すような演出が光ります。

第2楽章:

鎮魂歌のような、抑制の効いた楽曲です。

感情を吐露するかのように静かに進行する主題と、単調な伴奏が、一種独特な世界観を醸し出しています。

第3楽章:

祝祭で奏でられる、陽気なダンスミュージックのような楽曲です。

ポップで分かりやすい主題が和音による重音で奏でられます。中盤辺りからの音階の昇降が軽快で素敵です。

「No.13 ~ 15」:「Mandolin Concert in C major (マンドリン協奏曲 ハ長調)

第1楽章:

軽妙でひたすらに明るい雰囲気が印象的な楽曲です。

同型で繰り返される特徴的な主題が、変奏的に姿形を変えて登場します。

映画「クレイマー、クレイマー」(ロバート・ベントン監督/1979年/アメリカ)のテーマ曲として使用されていたことでも有名です。

<おすすめ度★>

「No.16」~「No.18」:「Lute Concert in D major (リュート協奏曲 ニ長調)」

第1楽章:

底抜けに明るいな楽曲です。

歓喜と祝福に満ちあふれています。

第2楽章:

落ち着いた雰囲気の楽曲です。

低音域のベースラインが特徴的で、その上で歌われる感傷的な旋律が素敵です。

第3楽章:

軽やかにステップを踏んでいるような楽曲です。

跳躍のように進行する主題が印象的です。

弦楽曲のピアノアレンジは、原曲より軽やかさが増している感じがします。

原曲の持つ多層的でポリフォニックな進行は、和音によるホモフォニックな音響に変貌している箇所もあって、とても面白いです。

「四季(ピアノ編曲版)他」です。
ヴィヴァルディ:四季(ピアノ編曲版)他 レーベル[NAXOS]

ところで、「ポリフォニック」と「ホモフォニック」とは何ですか。

「ポリフォニック」は、複数の独立した声部が進行する多声楽な音楽の形式だな。
「ホモフォニック」は、主旋律と伴奏という声部の役割が明確な音楽の形式だな。

【観想】バロック音楽のピアノ編曲(2)。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

今回紹介したアルバムは、バロック時代の作品をピアノ用にアレンジした楽曲で構成されています。

「協奏曲集≪四季≫」については、ピアニストであるジェフリー・ビーゲル氏が編曲を手掛けて演奏してます。

帯に「ありそうでなかった正攻法の編曲!」とあるように、ピアニスティックな効果を狙った編曲ではなく、原曲を精緻に研究したピアノによる再現になっています。

そのため、「もしバロック時代に、ピアノが楽器の王者として君臨していたら、こんな音楽がつくられていたかもしれない」という夢想が捗ります。

「協奏曲集≪四季≫」は、バロック音楽のなかでも知名度が飛び抜けていますので、「この曲をピアノで演奏してみたい」と思う方も多いと思います。

ピアノ編曲では、同型の反復や、同音の連打、スケールの昇降などが原曲よりも目立ちます。そのためか、エチュードとしての効用もあるのかなと思います。

冒頭でも述べたように、「憧れの曲を、いつかピアノで弾いてみたい」というピアノ初学者の代弁したような、どこかノスタルジックな感傷に浸れます。

音楽家の略歴です。

<略歴>アントニオ・ヴィヴァルディ
【伊】1678-1741
合奏協奏曲、独奏協奏曲の発展に重要な役割を演じ、J.S.バッハらへも影響を与えた。従来の教会コンチェルトの緩・急・緩…の形式に代わって、シンフォニア風の急・緩・急の3楽章の形式を確立し、古典派協奏曲の前提をなした。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

ピアニスト自身によるピアノ・アレンジなのですね。

ピアノ・アレンジのスコアとしてはイタリアのリコルディ社の版が主流だったようだな。ビーゲル氏は楽曲への思い入れが強かったようで、自身で研究を重ねて上梓に至ったみたいだぞ。

【追想】バロック音楽のピアノ・アレンジ。

和声進行と和音進行のコラボレーションが魅力です。

「ヴィヴァルディ ピアノ独奏版「四季」」です。
ヴィヴァルディ ピアノ独奏版「四季」 和田則彦[編著] ドレミ楽譜出版社

「ヴィヴァルディ ピアノ独奏版「四季」」(和田則彦[編著]/ドレミ楽譜出版社)です。

和田則彦氏による、ヴィヴァルディの「協奏曲集≪四季≫」をピアノ用にアレンジ版した楽譜です。

和田氏は「聴くだけの『高嶺の花』だった『四季』! (実は私自身もその中の一人でした)今、夢を現実の物とするために、ピアノ独奏のための、伴奏が要らない『四季』の楽譜を作り、皆様に捧げます。」(2ページ目抜粋)と「はじめに」で心意気を語っています。

そのため、バロック好きかつピアノ好きにはたまらない一冊になっています。

原曲の持つ雰囲気を充分に維持したアレンジが見事です。

解説も秀逸です。

作曲家を紹介した「Antonio Vivaldi」というコラムでは、ヴィヴァルディの生涯とともにヴィヴァルディが完成に貢献した協奏曲形式について語っています。

そして、「協奏曲集≪四季≫」に添えられたソネットにも触れています。

最後の方では、日本国内における「協奏曲集≪四季≫」のムーヴメントについても語っています。

正にヴィヴァルディ好きの極みといった感で、全方位的に解説しています。

「楽曲解説と演奏上の参考事項」には、協奏曲をピアノ用に編曲する上での苦労や工夫、演奏上のアドバイスを語っていて、とても楽しいです。

10ページには「四季」のソネットも原文と和訳で掲載されています。

バロック時代に作曲された協奏曲を、現代のピアノで演奏するようにアレンジした試みに感服します。

ピアノの練習曲ではなく、ひとつの完成した作品ということを主張されてますね。

それでも「練習曲風」になること自体は認めているぞ。ただし、様々なパッセージが組み合わさった点を強調されているぞ。

【雑想】下手の横好き。(第147弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

「Studio One」シリーズで打ち込んだクラシック音楽をお披露目するコーナーです。

今回は、<おすすめ度★★★>として紹介したヴィヴァルディの「協奏曲集≪四季≫ 第2番 ト短調 ≪夏≫ 」の第3楽章のピアノ編曲版です。
・「ミュージック(クラシック_03)」のページで、「協奏曲集≪四季≫」の全曲をピアノでアレンジした版を掲載する予定です。

準備中です。

他作品を含め、下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
・ミュージック(クラシック_03)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

今回はヴィヴァルディの単独回でした。

バロック音楽は大好きで、とりわけヴィヴァルディは大好物で、CD40枚組の全集も購入する変態を自負しています。

いずれ全集を紹介する日が来ると想います。(今から肝を冷やしてます)

ヴィヴァルディの「協奏曲集≪四季≫」については、原曲もピアノアレンジも琴線に触れる箇所が多いです。

いつか自分でも弾けるようなピアノ・アレンジがしてみたいです。

次回はグリーグのアルバムを紹介します。

では、また。

バロック時代には、ピアノはなかったのでしょうか。

バルトロメオ・クリストフォリ(1655-1732/イタリア)がピアノを開発したのは、1700年前後だから、存在自体はしていたことになる。ただし、まだ未成熟な楽器だったので主流にはいたらなかったようだぞ。そのためバロック時代の音楽には「ピアノ用の曲がない」という印象になっているな。