こんにちは。はーねうすです。

今回は、「グリーグ:弦楽四重奏曲/チェロ・ソナタ/他」を紹介します。

19世紀を代表するロマン派の作曲家であるグリーグの室内楽曲集です。

「ピアノ協奏曲 イ短調」や「組曲『ペール・ギュント』」のような管弦楽曲や、「抒情小曲集」のようなピアノ曲の作曲家というイメージのあるグリーグの室内楽曲です。

上記の楽曲に埋もれてしまっている感は否めませんが、素敵な作品が多いです。

演奏は、ガルネリ弦楽四重奏団、ジュリアン・ロイド・ウェッバー氏、ベンクト・フォシュベリ氏です。

グリーグの室内楽曲ですね。渋いですね。

管弦楽曲のような派手さはないが、グリーグらしい愛らしさが多分に含まれているぞ。

【着想】北欧の室内楽曲。

グリーグ:弦楽四重奏曲/チェロ・ソナタ/他」のコンテンツです。

「グリーグ:弦楽四重奏曲/チェロ・ソナタ/他」です。
グリーグ:弦楽四重奏曲/チェロ・ソナタ/他 レーベル[PHILIPS]

19世紀のノルウェーを代表するグリーグでは、ロマン主義音楽の作曲家と位置づけられています。「組曲『ペール・ギュント』」や「抒情小曲集」のロマン主義的な様式美の音楽ばかりでなく、弦楽四重奏曲やソナタなど、形式美の音楽も手掛けています。

No.曲名(1)曲名(2)作品番号
1*弦楽四重奏曲 ト短調第1楽章:Un poco andante – Allegro molto ed agitatoOp.27
2*弦楽四重奏曲 ト短調第2楽章:Romanze (Andantino – Allegro agitato)Op.27
3*弦楽四重奏曲 ト短調第3楽章:Intermezzo (Allegro molto marcato – Più vivo e scherzandoOp.27
4*弦楽四重奏曲 ト短調第4楽章:Finale (Lento – Presto sltarello)Op.27
5**チェロとピアノのためのインテルメッツォ
6**チェロ・ソナタ イ短調第1楽章:Allegro agitatoOp.36
7**チェロ・ソナタ イ短調第2楽章:Andante molto tranquilloOp.36
8**チェロ・ソナタ イ短調第3楽章:AllegroOp.36
*: ガルネリ弦楽四重奏団
**: ジュリアン・ロイド・ウェッバー(チェロ)、ベンクト・フォシュベリ(ピアノ)

<おすすめ度★★★>

ちょっとした所感です。

「No.1」~「No.4」:「弦楽四重奏曲 ト短調」

第1楽章:

劇的で、逼迫した感情が押し迫るような楽曲です。

激烈な序奏、猛烈に疾駆する第1主題、抒情的で柔和な第2主題で構成された提示部が印象的です。

爆発的に荒れ狂う展開部、回想的な再現部、そして疾走するようにまとめ上げられる終結部で構成されています。

各声部が生き生きと始終動き、交響的な作品になっています。

第2楽章:

物語的に展開する、優雅な楽曲です。

典雅でたおやかなワルツのような主要主題と、対をなすように強烈な感情をぶつける副次主題で構成されています。

各声部の動線に活気があり、素敵です。

第3楽章:

起伏の激しい、ドラマティックな楽曲です。

北方系の民族的な舞曲の動機で構成された主題が、複合的に構成されています。

バラエティに富んでいて、とても魅力的です。

第4楽章:

緊張感と開放感が入り混じった楽曲です。

スタッカート気味で躍動的に進行する主要主題と、忙しなさと落ち着きのない様を音楽化したような副次主題の構成が面白いです。

終結に向けて、全楽章の展開部に相当するような働きをする仕組みが素敵です。

<おすすめ度★★>

「No.6」~「No.8」:「チェロ・ソナタ イ短調」

第1楽章:

動静のメリハリが効いた楽曲です。

チェロが先導する動的な第1主題と、ピアノが主導する静的な第2主題で構成された提示部が魅力的です。

互いに立場を主張するような展開部、再現部が続きます。

そして、ピアノ協奏曲の序奏部や終結部を想起させる動機で構成された結尾を迎えます。音楽における演出として大変興味深い内容です。

第2楽章:

湖畔に浮かんだ小舟が、揺れ動いている様子を描いたような楽曲です。

ピアノの揺れに乗った、息の長いチェロの主旋律が、優しく導きます。

その後、ピアノの猛烈な応答に導かれるように展開します。

最後は消え入るように穏やかに閉じます。

第3楽章:

北欧の民俗舞曲を思わせる楽曲です。

チェロとピアノが楽しそうにじゃれ合っているかのように、相互に主題を交換する主要部が面白いです。

目まぐるしく展開する中間部も印象的です。

そして、終結に向かうにつれ、主題の回想的な用法の色合いが濃くなって行き、壮大に幕を閉じます。

<おすすめ度★>

「No.5」:「チェロとピアノのためのインテルメッツォ」

郷愁と憧憬を惹起する穏やかな楽曲です。

チェロで奏でる主題に応えるように、ピアノが伴奏や主旋律を受け持ちます。

まるで微睡みを表現したかのような内容です。

重厚で交響的な楽曲から、小規模で愛らしい楽曲まで、如何にもグリーグらしい作品群ですね。

「組曲『ペール・ギュント』」のような派手さや、キャッチな旋律はありませんが、どれもが渋みのある内容で、大変興味深いアルバムです。

「グリーグ:弦楽四重奏曲/チェロ・ソナタ/他」です。
グリーグ:弦楽四重奏曲/チェロ・ソナタ/他 レーベル[PHILIPS]

どことなく熱烈で激情的な雰囲気の曲が多い気がします。

とりわけ弦楽四重奏で感じられる印象だな。実際に音楽の発想記号でも「agitato(激しく、苛立って)」というのが二つの楽章に含まれているぞ。

【観想】特性と伝統。

魅力と醍醐味について、少しばかりの言及です。

今回紹介したアルバムは、グリーグとしては珍しい室内楽曲のアルバムです。

実際にグリーグが作曲した室内楽曲は少ないです。内訳は、ヴァイオリン・ソナタが3曲、チェロ・ソナタが1曲、弦楽四重奏曲が1曲です。(それに、今回紹介したアルバムにある「チェロとピアノのためのインテルメッツォ」ですね)

構成を重んじる多楽章形式の音楽では、自身の特性である叙情性を活かせないと感じたのかもしれません。

それでも、弦楽四重奏曲やチェロ・ソナタの作曲に対して、果敢にチャレンジしたグリーグの作曲家としての矜持が感じられます。

伝統的な形式音楽を踏まえた上で、自身の特性を発揮させる工夫が、室内楽曲の組み込まれています。

「弦楽四重奏曲 ト短調」についてライナーノーツ(福本健氏著)には、「不得意の形式に関しては、特定の動機を中心に4つの楽章がまとめられる手法が用いられている。つまりイプセンの詩による歌曲集作品25の中の<吟遊詩人>の冒頭の旋律が若干の変更を伴いながら全楽章に使われ、(中略) 異例なまでの統一性が配慮されている。」とあります。

また、グリーグの先進性も弦楽四重奏曲には盛り込まれています。

同じくライナーノーツ(福本健氏著)には、「調性の扱いには独自のものを盛り込み、半音階的和声や不協和音の用い方などには機能和声の限界に近いところまで拡大されているところもあり、それゆえに10年後*に書かれるドビュッシーのト短調の弦楽四重奏曲の先駆的作品とも評される。」とあります。
*: グリーグの弦楽四重奏曲は1870年中頃の作曲 (ブログ管理者註)

室内楽曲群からは、革新的な作曲家とは見なされないグリーグの、新たな一面を感じられますね。

音楽家の略歴です。

<略歴>エドヴァルド・グリーグ
【ノルウェー】1843-1907
ドイツ・ロマン派音楽の影響を強く受けたが、1863年にコペンハーゲンでN.ガーデに短期間師事。またこの地でスカンディナビアの国民的音楽の創造を提唱していたR.ノールロークを知ったことで、ノルウェー国民主義への方向を決定的にした。
(「クラシック音楽作品名辞典<改訂版> 三省堂」より抜粋)

確かに弦楽四重奏曲は、どこか他作品には感じられない「重み」のようなものがあります。

伝統的な形式音楽に、自身の音楽語法を加えようとする意気込みが前面に出ているためかもしれないな。抒情小品集のような、ライトに聴くことができる音楽とは異質と感じてもしかたがないぞ。

【追想】批判と批評。

ムッシュー・クロッシュ・アンティディレッタントの評です。

「ドビュッシー 音楽論集 -反好事家八分音符氏-」です。
ドビュッシー 音楽論集 -反好事家八分音符氏- 平島正郎[訳] 岩波文庫

「ドビュッシー 音楽論集 -反好事家八分音符氏-」(平島正郎[訳] 音楽之友社)です。

音楽史に「印象主義」という1ジャンルを生み出した、音楽界屈指の作曲であるクロード・ドビュッシーによる音楽評です。

いかにもエスプリといった気風で、アイロニーに満ちあふれた語り口で展開されています。

先輩作曲家や同時代の作曲家に向けて、多角的に論評しています。

グリーグについても、標題付きで掲載されています。(203~213ページ)

グリーグに対する辛口コメントが聞いています。具体的な音楽ではなく、グリーグのパリ(フランス)に対する姿勢や、聴衆の熱狂ぶりをあげて、シニカルに評しています。

とりわけドレフュス事件(1894年)を切っ掛けに、グリーグはフランスに対して良い想いをしていなかったようです。「自由を理解しない国」と評したことも、ドビュッシーの批評につながっているようですね。

この章は、ドビュッシーの辛辣な表現が多く、実際に読んでみることをお勧めします。

ムソルグスキーを絶賛している章(ムソルクスキイ / 57~60ページ)との毛色の違いを強く感じられます。

ところで「反好事家八分音符氏」とは何ですか。

ドビュッシーの音楽評論に登場する架空の人物だな。書籍の冒頭で、章をさいて人物紹介をしているぞ。

【雑想】下手の横好き。(第149弾)

クラシック音楽の打ち込み作品の紹介です。

DAW(Digital Audio Workstation)でクラシック音楽を打ち込んだDTM(DeskTop Music)の作品を制作しています。

DAWで音楽を制作するDTMの楽しさが伝わればと思います。

下記リンク先にクラシック音楽の打ち込み作品などを纏めていますので、ご鑑賞いただければ嬉しいです。

・ミュージック(クラシック_01)
・ミュージック(クラシック_02)
・ミュージック(クラシック_03)

クラシック音楽をファミコン(ファミリーコンピューター)の音源風(あくまで「風」)にアレンジした「8bit クラシック」という打ち込み作品も纏めていますので、上記に加えてご鑑賞いただければ幸いです。

・ミュージック(8bit クラシック_01)

長く続く趣味を持ちたいです。

今回は、グリーグの室内楽の作品集でした。

グリーグと言えば、「ピアノ協奏曲 イ短調」や「組曲『ペール・ギュント』」のような、大規模で華やかな作品の作曲家、というイメージがあります。

また、伝統的な形式音楽については、食指が動かなかったというイメージもありました。

ですが、今回紹介したアルバムで、そのイメージを払拭できました。

著名な作品に埋もれてしまっている作品の中から、意外な一面を垣間見られる切っ掛けになりました。

次回もグリーグのアルバムを紹介します。

では、また。

他の室内楽も聴いてみたいですね。

ヴァイオリン・ソナタ 第3番がお勧めだな。グリーグの叙情性が見事に織り込まれているぞ。

投稿者
アバター画像

はーねうす

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)